【ネタバレなし】映画『パヴァロッティ太陽のテノール』感想？ダイマ？

オペラは聴いたことはあるしあの歌声の価値はわかるけど高いしイタリア語だし曲名番号だしどのタイトルが有名な奴か諸々兎に角サッパリわからねぇよ！みたいな人間が観ても怖くなかったです。

一人の人間を追った伝記なんだけど、ザッツエンターテインメントのオペラ版みたいな感覚で観ていい。

多分私が観た印象、その「一人の人間」の生涯とか、考え方とか、歌唱との向き合い方とか、何を思って生き、死んでいったのかとかそういう価値観を踏まえると、この映画を「いやオペラサッパリわかんねぇんだよねみたいな人」の窓口的作品にしてもいいんじゃないかなって。

実は私舞浜のヲタクをしてる時、渋谷のTSUTAYAのクラシック棚も漁るから三大テノールって実は英語詩の映画の曲とかポピュラーなのも歌ってるの知ってて、それはCD借りて聴いた事もあったんだけど、あっこの人はそういう「敷居の低い入口」もあるんだ。ってのはやっぱり我々直撃でない世代は本当に興味がない人じゃないと見つけられない入口なんですよね。

多少興味ある程度じゃあんまり能動的に調べる優先順位も高くなさそうなジャンルだから(イタリア語わかんねーよ！)余計、そんなにかしこまらなくても大丈夫だよ。っていうのは言ってあげないと強張っちゃうんだよね。

まぁこっから観劇しよう！まで行くともっと教養身に付けないといけないけど、入口は敷居の低いものが色々あるっていうのさえ知らないで食わず嫌いされるのは勿体ない話ですよね。

オペラの曲も軽く作品解説があるし歌詞の和訳を見ながら楽曲を聴けるってなんかタイミング無いと出来ないんですよね。いきなり演目丸々観るのもなんか敷居高い(何故ならイタリア語がわかんねーから)ですし。NHKとかでやってるけどその番組わざわざ観る、って段階には行けないと思うし(何故ならイタリア語サッパリわかんねーから)入口探し方がわからない人にサッとガイダンスをしてる感じが取っ付き易くて有り難かったです。関係者結構皆英語喋れるのな？！あ、色んな人の回顧録や解説で話が進んでくのでかなり英語のリスニングの勉強なると思いますよこの映画。

我々サブスク時代のいいところって未知のジャンル開拓が滅茶苦茶容易な事なんです。

クラシックだと図書館に無料で借りれるCD置いてたりするけどそういう労力さえいらないんですよね。但、入口を見つけるところから膨大な情報が転がっていて何から手を出せばいいかで迷ってしまう時代でもあるので、こういう道標というか「入口」になれる作品には色々触れてみるのはいいかもしれないなって。

全体的に「我々直撃でない世代」に向けられた映画だったんじゃないかな。勿論当時を知る人達の懐古的な要素も併せてるけれども、それよりももっと色んな人にこの人を知って欲しい！っていうのが強く感じ取れて、あっこの人は私を見て自分の歌を聴いて欲しいと訴えかけてるんだ。芸術は不滅というけれど、画面の向こうで歌ってる「あの人の魂」は自分達が受け継いでいかないと不滅の存在にはならないんだ。

って訴えかけてるような、そんな映画だったんじゃないかな。

受け取り方は皆それぞれだけど、こういう男がかつてこの世にいたんだ、をまず知るというのが一番大事だと思う。入口を見つけて、進むか避けるかは勿論各個人の自由ですが。

あ。何であの人達頑なにサッパリわかんねーイタリア語で歌ってるのか、ちゃんと説明もありました。

あとこの映画、敢えて悪かったところを挙げるとすると、フレディに続いてあいつらあんな時代経験してんのかよってキレたくなった事と、どうしても「それ向けに用意されたサントラじゃないから」ドルビーシアターを活かし切れてない事かな。

90年代くらいから音質は良くなってくるけど

「これが・・・ドルビーシアター・・・！」みたいな感動は捨てた方がいいかな。ボヘラプと違ってドラマパート一切なしのドキュメンタリーだからね。だがそれがいい。

求めてなかったからいいんだけどそれでも初ドルビーシアターだったから普通の劇場とはどう違うんだ！？みたいなのはあったから初体験これで良かったのか？みたいな。

いきなりクソ小さい画角とノイズまみれの音聞かされてドルビー初体験にしてはロックな奴選んだなってフフッとなったよね。

いやでも音がいい環境で観れるに越した事はないタイプの映画なので興味があって行けるなら劇場に行ったほうがいいです。ラストはしっかりドルビーシアター魅せてたと思うし。