【読書感想】赤い花・信号
先程の記事はバサラ度の高さを語っただけなのでこちらで真面目な感想も。読んでもらう事度外視でひたすら真面目な感想しか言わないよ!バサラって単語も一回も登場しないよ!
ガルシン『赤い花・信号』(旺文社)
- 作者: ガルシン,小沼文彦
- 出版社/メーカー: 旺文社
- 発売日: 1968/01
- メディア: 文庫
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国が違うけど、ワイルドの話と似てる話があった。どちらも19世紀の隔離病棟にお世話になった事のある作家だからなのか、そもそもこの時代は世界中がこんな鬱屈した時代だったのか。なんかそういう話をしてる人いないかなってサラッとネットを漁ってみたけど見かけなかったから思違いかもしれない。大学まで行けばいるかもしれないけどね。
似てるとは言ったけどやっぱりワイルドの方が「マイノリティの愛」に踏み込んでいると思う。ツバメは王子に口付けをしたけど草はただ寄り添う事しか出来なかったのだから。読み易いと評されてるのも言っちゃ悪いけどガルシンの作品には幸せの象徴に母親・妻・恋人が幾度となく出てくる所もあると思うな。
勿論作者がどう生きたか、愛というものにはマイノリティも糞も存在しないのでどちらが作品としてより高い、優れてるとかは存在しないです。あくまで読み易い読んでて疲れないのお話。因みにTwitterで言ってた久々に読書中に泣いたの前回はワイルドの作品だったり。マイノリティだろうがなかろうが同じ人間愛を求めた作家が似たような話を書くのは寧ろ当然の流れだと思う。
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前の記事でも言ったけどナロードニキは私も授業でサラッと触れられただけ。でも世界史史上最も「真っ当な人間」に感じてなんとなく頭の片隅に残ってる人達だったのはそれだけ思う所があったんだと思う。実際に手に取ってみて彼の精神を垣間見てそうであったと知る事が出来たんだけど何とも言えない物悲しさがあるね。こういう縁がタイトル買いの楽しい所。
そもそも私、現代では当たり前に評価されてるものを求めて文字通りに血を流した人達の話に非常に弱いんだ。彼らがあってこそ今があると思うと(それが正しいかはさておき)彼らの犠牲は決して無駄なんかじゃなかったって泣いてしまうんだよね。破滅の愛の物語は好きだけど出来る事なら現実では起きて欲しくはないよね。
因みに今回は短編集だけど一番好きだったお話は「四日間」かな。読んでてちょっとびっくりしちゃった。
好き家
【バサラ・ブックスレポ】赤い花・信号
こちらの看板。このお店でバサラ度高いタイトルの本を一冊買ってみようぜ!ある訳ないやろ!というノリで店内をフラフラ見回した。あった。
- 作者: ガルシン,小沼文彦
- 出版社/メーカー: 旺文社
- 発売日: 1968/01
- メディア: 文庫
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奇跡かな?誰が何と言おうともう完全に「バサラ・ブック」ですね?読むと分かりますがこの「信号」とは赤信号の事でしたKISEKI。時代背景は19世紀末のロシアのお話だけど意味もちゃんと「停止信号」。でも彼が嫌った「赤信号」のちょっと違った側面が見えてきそうですよ。
※注意※
【バサラ・ブックスレポ】はあくまでデュエマ好きさんに向けて書いたレポです。マトモな感想も【読書感想】に置いてるんで怒らないでね。
結論から言っちゃうとバサラ度高すぎて次回やりたくないくらい「バサラ・ブック」でした。
読み進めると腐り切った世界を前に「正義とは何か?善とは何か?生きるとは何か?勝利とは何か?愛とは何か?」と苦しむ若者の苦悩や自由への渇望なんかが鮮やかに書かれてました。
それもその筈。この作者ガルシンの生きた時代はドンピシャのナロードニキ運動終焉の時代。なんか世界史でサラッとやるあれね。私もサラッと習ったレベルだけどあれだあれ世界が腐り切ってるから頭いい人達が人道活動してみたけど頭いい人達が故に世界は糞過ぎて自分達じゃどうしようもないって自己解決しちゃって勝手に終息した運動とかいうバサラ度高いあれ(?)。
中身は5編からなる短編集。破滅のシナリオ、正義の勝利、届かない想いと結末は様々ですが絶望の時代を生きた頭のいい作家から溢れる人間愛の追求が深く心を打たれるまさに「バサラ・ブック」の第一弾を飾るに相応しい、いやもうこれがザ・「バサラ・ブック」でいいよってくらい人間愛溢れるバサラ度の高い一冊でした。No.2は草。あとオーナーは糞。
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ナロードなんたらがどうのって難しそうな内容だけどかなり読みやすいのも特徴。この本の解説に何度も何度も「日本人ってロシア文学に理解度高くて読みやすいって思ってる人種だよね」って書かれてたくらいには読みやすいし更にこれ短編集の上解説省けば250pくらいですよ!最後のお話が100p超えでちょっと長いですけどね。
描写も鮮やかでとても美しいです。「人間愛」という不変の真理がテーマに生きた作家なのも読みやすさをアシストしてくれてるかな?何たってバサラ度が高いからね!
真面目な話。バサラ云々を置いといて私が涙を流したくらい人間愛を追求した美しい一冊でした。是非。
好き家